市町村国保アンケート結果報告(2016年版)

長野県保険医協会では、毎年市町村の協力を得て国民健康保険料(税)及び保険証交付等に関するアンケートを行っているが、昨年7月~8月に実施した調査結果を冊子にまとめた。

国保料率 所得の2割以上占める世帯も
国民健康保険料(税)率の前年との比較では、県内77市町村中85.7%にあたる66市町村が保険料(税)率を据え置きとした。医療分は全体的に引き上げ傾向にあるが、特に医療分の平等割を引き上げた市町村が最も多い。松本市は全ての区分について引き上げを行っている。
夫婦と子ども一人の世帯をモデルとして、所得150万円、200万円、250万円、300万円で試算を行ったところ、150万円、200万円の区分で保険料(税)の額が一番高いのは麻績村、250万円、300万円の区分で最も高いのは松本市であることが分かった。一方、保険料(税)額が最も低いのはいずれも根羽村となっている。いずれの区分でも保険料(税)額が最も高い自治体と最も低い自治体では2倍以上の差がある。
昨年度との比較では小布施町、駒ヶ根市、松本市などで引き上げ幅が大きく、所得250万円世帯では小布施町が92,250円、駒ヶ根市が73,215円、松本市が59,170円の引き上げとなった。
また、所得が低ければ低いほど保険料率の所得に占める割合は大きくなる。所得300万円世帯で最も高い料率となる松本市では対所得割合は17.4%であるが、所得150万円世帯で最も高い料率となる麻績村では21.7%と所得の2割以上を占める料率で、現在の国保料(税)は逆進性が強い制度であることをここから読み取ることができる。

窓口留置き、外見に区別──短期証運用に疑問
保険証の交付状況の調査では、全世帯に対する短期被保険者証の発行率は前年調査よりも微減し2016年1月現在では11,106世帯(3.72%)であった。上田市では国保世帯の10.39%に対して短期被保険者証を発行している。また、窓口で短期被保険者証が留置きされている数は昨年調査よりも減少したが全県で390世帯あった。長野市では昨年まで留め置きは無かったが、今回の調査では留置き率が80%と県内でも突出した高さになっている。これには2015年10月より短期証の交付方法が郵送から窓口へと変更されたことが影響していると考えられる。交付方法が変更になったことを知らない世帯、あるいは経済的理由や病気、交通手段が無いなどの理由により来庁できない世帯が変更に対応できなかったのではないだろうか。
短期被保険者証の有効期間は6か月が最も多く35.8%であったが、1か月とされたものが23.7%、2か月とされたものが9.0%と1~2か月の超短期の被保険者証が発行世帯全体の1/3を占めている。3か月以内の短期証の発行数を足し合わせると61%となり、前年調査の58.4%より2.6%増加している。
今回の調査では各市町村での短期被保険者証の見た目での区別についても調査を行い、短期証を見た目で区別する市町村が20市町村あったことがわかっている。「短」を丸で囲ったり「短期」の文字を四角で囲う赤いスタンプを押印するなど、目立つ印をつける市町村が多く見られ、中には短期証の大きさや色を変えている自治体もある。こうした区別によって患者が受診をためらい、初診時に重症化することも考えられる。また、子どもの短期証の有効期限についての質問では、県内77市町村の約76%にあたる53市町村が6ヶ月と回答している。満期保険証と同じ1年としたのは18市町村。一方で辰野町は、「親と合わせる等の申し出があれば6ヶ月以内もある」としているため、子どもでも1~2ヶ月の超短期証の発行もあり得る。子どもの短期証は6ヶ月以上とするのが原則である。子どもの短期証の扱いが適切であるか疑問が生じる。
さらに、国保料等の差押に関する調査では、児童扶養手当、児童手当、傷病手当を差押から除外すると回答した市町村が多く見られた一方で、差押から除外するものは無いと回答した市町村が散見された。前述した3つの手当はそれぞれ法律により差押が禁止されており、2013年3月29日には鳥取地裁で児童手当の差押は違法であるとする判決が出されている。

極端に少ない独自申請減免・国保44条減免
各市町村の制度による保険料減免世帯は保険証交付対象世帯の約56%を占めるが、一方で独自申請減免を受けた世帯は県全体でわずか745世帯(0.2%)、国保44条減免に基づく一部負担金の減免を受けた人は103人であった。これらの減免制度について知らない人も多くいると思われる。住民に対する制度の周知が必要ではないだろうか。

被保険者証の扱い改善にさらなる取り組みを
短期証全体の発行数は減少しているものの、その内容が改善されているとは言いがたい。短期証全体に占める3ヶ月以内の短期証の構成割合は昨年より2%程度増え、1ヶ月の短期証の窓口留置き率は14.6%も増加している。短期証の窓口留置きによる実質無保険状態の世帯があることも忘れてはならない。無保険や資格証による手遅れ死亡事例は後を絶たない。また、児扶手等の差押、減免制度の周知など、問題は山積している。社会保障である国民健康保険の運用を改善するため、さらなる働きかけを進めていきたい。

国保アンケート結果報告

2017/3/1 p.29-30タイトルを変更(「滞納・差押整理機構」→「差押実行世帯・実行金額」)、それに伴いp.29末尾の記載を一部削除しました(「差押額、機構による徴収額」→「差押額」)
差押実行世帯・実行金額