窓口無料化を求めるシンポジウムで方向探る

先進県群馬県の行政担当者の評価などに注目

県保険医協会も構成団体になっている福祉医療給付制度の改善を進める会(会長・坂本隆久県障害者障害者運動推進協議会会長)が主催して9月16日、「子ども・障がい者の医療費窓口無料化」を求める県民シンポジウムが松本市内で開催され、会の関係団体関係者や一般市民ら158名の参加があった。協会からは鈴木会長、林常任理事、宮沢事務局長らが参加した。
シンポジウムでは5人のシンポジストからの意見発表があった。
「ぐんま住民と自治研究所」塚原代表理事は、群馬県での平成21年10月からの全国初の中学校卒業までの子ども医療費窓口完全無料化制度に関して、行政の評価として早期受診で慢性疾患の重症化を抑制し、歯科では小中学生の虫歯治療も前進、子どもが安心して受けられる環境が整えられているとする群馬県議会の本年5月定例会での理事者の答弁を紹介、また懸念されたコンビ
ニ受診(時間外受診)も減少傾向にあるとする答弁があったことも伝えた。
山梨県の新日本婦人の会事務局長の豊木氏は、同県での窓口無料化の実現に大きな力になったのは、小児科医と母親の連携した粘り強い運動であったこと、各市町村への取り組みも重視し、全県の制度にしていくことが基礎になっていったことを紹介した。
松本協立病院歯科センターの石井歯科医師は、全日本民医連が6月に刊行の「歯科酷書-第2弾-格差と貧困が生み出した口腔崩壊」を引用しながら歯の健康格差が広がり、経済的事情で歯科受診をあきらめている人が増えていることを告発、保険で良い歯科医療をお金の心配なく受けれる制度にして欲しいと訴えた。
患者関係の団体からはポプラの会の山本氏が精神障障害者の立場から偏見が多いことや所得が少ない状況から医療費負担は大きな重荷とし、窓口無料化を早く実現して欲しいと訴えた。
また、県難病患者連絡協議会事務局長の有坂氏は、難病患者の様々な実態・困難な状況を紹介しながら、一刻も早い窓口無料化の実現を求めた。
フロアーからは、経済的理由で「診療室でも薬を断る母親、受診そのものを断る母親もある」との小児科医の発言、重度の慢性病も持つ子どもの保護から状況の訴え、他県から転居の母親からの長野県はなぜ窓口無料でないのかとの声の紹介などがあった。
最後に今後の方向として「進める会」の湯浅事務局長から▽シンポジウムで学んだことを回りに広げる▽新聞に投書など行い世論を喚起する▽小児科医との連携を探っていく▽自治体への取り組みを強める▽会が作成するパンフレットの普及の取り組みが訴えられた。

群馬県議会:平成24年5月定例会-6月5日-本会議・一般質問での片野健康福祉部長の関係答弁要約

〇平成21年10月からは県内の全ての子供たちが中学校卒業まで安心して医療を受けられるようになった。群馬県の仕組みは、入院、通院ともに所得制限なし、あるいは自己負担なし、しかも窓口での支払いを要しない、全国の中でも最も手厚い制度。
〇医師の皆様からも評価をいただいているが、特に慢性疾患などは早期の受診による重症化の防止に役立っているのではないかという観点。それから本県、小中学生の虫歯の治癒率は、(制度)拡大前は全国平均と同じような水準だった。一方拡大後は全国平均を大きく5~10ポイントぐらい上回って治癒率が向上している。子供の時から歯を健康な状態に保つことは生涯にわた
る健康にとってもとても大切なことで、ひいては医療費の抑制につながる。こうした取り組みにより、子どもが安心して医療を受け
られる環境が整えられている。
〇国の意見として安易な受診につながるという観点があるが、子どもや障害者の方には受診に付き添いが必要であったりして、必ずしも過剰な受診にはなりにくいのではないかと考えている。国保をはじめとする各医療保険では、医療費の金額について定期的に受診者へ通知をしていて、また県や市町村では制度の周知とあわせて適正受診を推進している。
そして当初、時間外受診、いわゆるコンビニ受診について懸念したところもあったが、県内の受診状況を検証した結果、夜間・休日における小児救急電話相談、いわゆる#8000、こうした取り組み等もあり、子供の時間外受診は減少傾向にあることが確認できている。