子どもや障がい者の貧困問題で県民シンポジウム

貧困から子どもと障がい者を守る県民シンポジウム
~人にやさしい社会めざして~
20131006_001.JPG10月6日に松本市・浅間温泉文化センターで貧困から子どもと障がい者を守る県民シンポジウムが開催され、約230名が参加した。
今回の企画は、貧困問題は特に子ども・障がい者といった社会的に弱い立場にある人々に大きな影響がある一方で、それが表に「見えない」現実がある。そうした貧困問題を多くの事例報告をもとに可視化し、自分たちの問題として何ができるか考えることを目的に開催されたもの。集会では、当事者や子どもや障害児・者を取り巻く教員や医療関係者などから経済的困難を抱える家庭の実態が報告され、社会保障制度の貧困である日本では貧困問題は他人事ではなくいつ当事者になるかわからないといった点も指摘された。また、貧困問題を考える上で医療費の窓口無料化の運動や教育費への公的支出の拡充が不可欠といった声が多かった。
主催者の県障害者運動推進協議会代表の松丸氏は日本のこどもの貧困率の増加、生活保護の切捨て、障害者のほとんどがワーキングプアといった中で、その実態を共有しあい、改善のために何ができるか一緒に考えたいとあいさつした。
基調講演では生活底上げ実現長野県連絡会代表の村上 晃弁護士より「子どもの貧困の現状と国の施策の問題点」と題して基調講演があった。日本の相対的貧困率はOECD加盟国で9位であり、こどもの6人に一人は貧困であること、さらに得再分配後の貧困率の高さは日本の社会保障のひどさの象徴であるとした。貧困は発達成長する権利や学ぶ権利といった憲法上保障された子どもの人権を阻害し、貧困の連鎖が富裕層と貧困層を完全に分離すると指摘した。子どもの貧困率増加の原因は非正規雇用増加による親の収入の減少、一人親世帯の増加に加え社会保障削減もその要因とした。北欧やヨーロッパのように子どもを生み育てられる社会とするためには子育て支援、教育や医療、家族関係社会支出を増やす政策をとるべきだとした。日本の子どもの貧困に対する施策は国際的にもひどい状況であるにもかかわらず、政府は社会保障を切捨てする法案をどんどん提出しようとしているので、現場から声を上げて正していかなければならないと結んだ。
シンポジウムは、小児科医師の和田浩氏をコーディネータにすすめられた。冒頭に経済的困難を抱える母親2人から寄せられた文書の代読がされ、母子世帯の切実な実態が浮き彫りになった。原氏からは透析患者の医療費負担の状況や医療的ケアの必要なこどもの医療費負担を考えると、福祉医療の窓口無料化は是非勧めて欲しいと訴えた。医療ソーシャルワーカーの小山氏は外国人学校の健診の取り組みの経験から外国人の教育権などが保障されていないとの報告がされた。和田氏は経済的理由での治療中断の事例と貧困が子どもの健康への影響についての報告した上で経済的格差が子どもの健康格差を生まないためにも福祉医療費給付制度の窓口無料化の重要性を強調した。古澤氏からは就学援助制度の利用者数が増加していること、家庭の問題は学校でも非常に見えにくいこと、義務的経費が家庭の負担を圧迫している実態を報告するとともに教育費への公的負担の拡充が必要だとした。反貧困セーフティネットアルプス世話人の児玉氏からは子ども無料塾の取り組みについて報告。松本市の子どもアンケートなどを紹介し、子どもの貧困は社会的な問題として捉える必要があり、無料塾の活動を社会的なサポートシステムとしても提案していきたい今後の抱負が述べられた。
フロア発言では、24時間人工呼吸器が必要な子どもの母親、自ら精神疾患を抱える父親など当事者からの切実な訴えや教育関係者、歯科医師らの現場から見える貧困の実態などが報告された。
 最後に和田氏は、「当事者の生の声があり本当に良かった。いろいろな分野の発言があったが、それらは複雑に絡み合い背景には貧困問題がある。経済的困難を抱える人はなかなか発言もできないでいるが、一緒にがんばろうといった人もたくさんいる。私たちは息の長い取り組みをしていく必要があり、行政に対しても声をあげていきたい」とまとめた。
シンポジウムの詳細については長野保険医新聞にも掲載していく予定。